任意整理について

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著者:司法書士 山内隆之(東京司法書士会所属)

1.任意整理とは?

 任意整理の場合は、司法書士が代理人となって各債権者と和解の交渉をします。
その場合は、利息制限法に引き直した残額について、利息をカットし、元本だけを3年から5年で分割して返済していく交渉をします。
 通常どおり返済していくと、金利のため元本がなかなか減らないので、通常の返済より早く終わりますし、支払い総額も減ります。

任意整理

2.司法書士の取り扱う任意整理

 司法書士の行う任意整理の業務ですが、法務大臣から認定を受けた、簡易裁判所訴訟代理関係業務を行える司法書士(認定司法書士)は、140万円以下の借金については、交渉を和解をすることができます。この140万円という金額は、元金をもとに考えますので、利息や損害金は計算にいれません。つまり、A社から借りている残りの借金が160万円で、その内訳が、元金130万円、利息30万円なら司法書士も代理ができるということです。

3.任意整理の具体的な手続き

  それでは、司法書士事務所に任意整理を依頼する場合に、どのように手続きが行われていくのかを、具体的にご説明したいと思います。

(1)受任(任意整理の委任契約)

 まず、面談などにより認定司法書士がご相談を受け、任意整理が一番よいだろうということになり、相談者のかたも任意整理をお願いしたいということになりましたら、任意整理の委任契約を結びます。委任状をいただき、今後認定司法書士が代理人となって債権者(金融業者)に対応していきます。

(2)受任通知の発送

 受任後すぐに、認定司法書士は、依頼者の代理人として各債権者(金融業者)に「受任通知」を送付します。受任通知は、「司法書士の私が、◯◯さんの債務整理の手続きを引き受けました。今後本人には連絡しないでください」ということを通知する文書です。

(3)取り立ての禁止、支払いの停止

 受任通知は、和解ができるまでの当面の間、依頼者から債権者(金融業者)への返済を停止することを通知し、債権者(金融業者)からの取り立て行為(電話や文書による督促や、訪問など)を一切禁止し、その後の連絡先は、全て認定司法書士が窓口となります。このため、依頼者の方は取り立てがやみますので、しばらくは金融業者への返済に悩まされることなく、安心して生活の立て直しをはかることができます。

(4)取引履歴の開示請求

 それと同時に、認定司法書士は、債権者(金融業者)から「取引履歴」の開示を求めます。「取引履歴」は、今まで依頼者の方が、金融業者とどのように取引してきたか、つまり、借金の借り入れ額、借り入れの日付、利率、返済の額、返済日など、全ての取引の内容が書面に記載されているもので、金融業者から司法書士事務所に提出してもらいます。

(5)取引履歴の検証、利息制限法に基づく金利による再計算等

 このようにして受け取った取引履歴を全て詳細にチェックし、間違いがないか確認し、利息制限法違反の利率の利息をとっているような場合には、利息制限法に基く利率に計算しなおし、正しい借金の額を計算します。

(6)債務総額の確定・返済計画の立案

 正しい借金の額が計算できましたら、返済計画を立案し、依頼者の方に改めて毎月無理の無い範囲で返済が可能な金額を確認します。例えば、毎月3万円とか、5万円などと決めてもらいます。「返済原資」とも言います。この時点で家計でぎりぎりの返済計画を立ててしまったりすると、急な出費(冠婚葬祭や、病気による入院、収入の低下など)に対応できなくなってしまいますので、慎重に決めていきます。

(7)債権者(金融業者)との和解交渉

 返済原資が決まったら、いよいよ各債権者との和解交渉を進めます。返済原資から、各債権者の借金の額とを比較して、交渉をします。原則として今までの利息・損害金と、将来発生する利息をカットし、元本だけを分割して返済していくという交渉をします。
 任意整理をせず、金融業者との約定のとおり返済していくと、金利のため元金がなかなか減らないので、通常の返済より早く終わり、支払い総額も減ります。

4.事例設定

 任意整理の具体例を上げてみますね。Aさんの事例です。

(1)Aさんの仕事、収入

 Aさんは独身男性で、現在35歳。現在の会社には10年ほど前から正社員で勤めており、まじめに営業の仕事をこなしていました。収入は手取りで25万円です。会社の業績は、バブル崩壊後芳しくなく、ボーナスはカットされたままです。

(2)借金とその理由

 Aさんは、営業職で、顧客との関係上お酒のつきあいをしなければならないことがありました。その費用は会社からは支給されず、そのため、出費が多かった月には生活費が不足したり、急な出費で少しづつ借金が増えてしまいました。さらにまずいことに、その借金を埋め合わせようと、パチンコや競馬に手を出してつぎ込んでしまい、みるみるうちに5社で計300万円にまで膨れ上がってしまいました。

(3)Aさんの生活状況

 毎月の返済額は15万円にもなってしまいましたが、Aさんは家賃が7万円、独身で食費が4万円、電話代やガス、水道・光熱費で2万円、その他会社への交通費や日用品、保険料などいろいろかかり、毎月15万円の生活費が少なくとも必要です。

(4)借金の負担

 そのような生活状況の中、借金は毎月15万円は返済しなければなりません。そうすると収入から生活費を引くと10万円しか残らず、そこから返済をするには5万円が足りないという状況です。しかたなくその分を借入しますが、そうするといくら返済しても返済が終わらないという先が見えない状態になってしまいました…

(5)司法書士に相談

 将来収入が増える見込みもたたず、約定の返済も困難になってきてしまい、返済の遅れが1ヶ月、2ヶ月となってしまい、金融業者から督促の電話がたくさんかかってくるようになってしまいました。Aがさんは悩んだ末に、信頼できる友人に相談してみました。すると、その友人は「司法書士事務所に相談に行けばなんとかなるかもしれない」と、司法書士を紹介してくれました。早速紹介を受けた司法書士事務所に電話をし、事務所に行って相談を受けました。「今の生活の状況はいかがですか?」「お借り入れの原因はなんですか?」「お取引はいつごろからですか?」などと、いろいろと質問をされ、答えていると、司法書士は「取引がある程度長く、借入先の金融業者は、29%という利息制限法違反の利息を取っている業者ですので、取引履歴を取り寄せて再計算すれば、借金はもっと減ると思いますよ」とアドバイスしてくれました。

(6)任意整理を依頼

 そこで、アドバイスに従い、司法書士に任意整理を依頼することになりました。その場で契約書を作成し、委任状を書き、自分の持っているクレジットカードなどを司法書士に預けました。費用はとりあえず分割払いで2万円ずつ支払うことになりました。司法書士はその日のうちに受任通知を各社に出し、支払いを止めましたので、Aさんはそのころから督促の電話もやみ、毎月15万円の返済が、とりあえずは司法書士に積み立てる2万円になりましたので、生活がかなり楽になりました。

(7)債務調査・和解

 その後約1ヶ月がすぎ、司法書士の調査の結果、利息制限法による再計算後の借金の総額は、80万円であることが分かりました。そこで、司法書士はAさんに毎月3万円なら支払っていけるということを確認し、各社と和解しました。合計5社に毎月3万円ずつ返済し、2年と数ヶ月で完済する目処が立ちました。

 

手続きの流れ

5.任意整理に関する費用

(1)任意整理の報酬

 任意整理に関する費用は、事務所によってまちまちです。ただし、収入が少ない方は、法テラス(日本司法支援センターの代理援助を受けることができ、その場合は費用を安くおさえることができます。

 例えば、債権者(金融業者)が5社の場合、法テラスの任意整理の代理援助を利用しますと、着手金105,000円、実費25,000円の合計130,000円と、通常どおり弁護士、司法書士に頼むよりは安く済むことが多いとおもいます。さらにこれを毎月5,000円ずつなどの金額で償還していきますので、負担が減ります。万が一生活保護状態になってしまった場合には免除の手続きもあります。

 ただし、利用には収入の制限がありますので、ご注意下さい。

(2)任意整理の場合の支払い方法

 任意整理の場合、債権者に返済のしていくためのお金と、司法書士への報酬とがあります。どのように支払いをするかは事務所によって違うと思いますが、当事務所の場合は、毎月定額の積立をしていただき、その中から適宜司法書士報酬に充当したり、債権者に支払いをしていったりします。

 これは、依頼者の方に負担がないようにするためのもので、例えば毎月3万円の返済中に司法書士費用を支払うとなると、生活が大変になってしまう可能性があるからです。

具体的には、最初の面談で返済額の目安をつけ、例えば上記のAさんの場合でした3万円に設定し、毎月積立をしてもらいます。その後、和解して支払いが3ヶ月後からは始まる場合には、それまでの積立金は司法書士報酬に充当し、債権者への支払い開始後は債権者への返済に当てていきます。そうして債権者の返済が完了したあと、もし司法書士報酬の残がありましたら、そちらに少しずつお支払いいただくようにします。

 このようにして、毎月の積立額には配慮をしますが、おそらくそのように生活に差し支えない範囲での積立額を決めている事務所さんが多いのではないかと思います。

 

債務整理の報酬と費用

当事務所では、当事務所の報酬規定に基づき、明確な報酬額を定めております。 ご依頼の際には、費用について詳しくご説明の上、契約書を作成します。 事前にご説明のない費用のご請求はありませんので、安心してご依頼いただくことができます。

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