不動産の相続登記(相続による所有権移転登記)

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著者:司法書士 山内隆之(東京司法書士会所属)

1.相続登記とは?

 不動産の所有者が亡くなった場合には、相続登記の申請を行い、不動産の名義を相続人に変更します。

 「相続登記」と呼んだりしますが、主に、相続による不動産の所有権移転の登記を指します。この登記の申請を登記所(法務局)で行うことで、亡くなられた方の不動産の名義を、相続人に変更することになります。

  →相続の全体的なご説明については、こちらをご覧下さい。

2.相続登記はいつまでにしなければならないか?

 相続による所有権移転登記は、いつまでにしなければならないという義務はありません。この点は相続税の申告とは違うところですね。

 登記をする義務はないけれど、なるべく早めに登記を済ませておいた方が良いと思います。なぜなら、相続人が数名のうちは良いのですが、2世代目、3世代目と時間が経つにつれ、相続人の数が数十名、時には百名以上になってしまうこともあります。そうなると、いざ不動産を売ったりしようとしたときに、相続人で話合いがまとまらず、大変困ったことになります。実はこのようなケースはよくあることなのです。
 相続する人が決まっているのでしたら、子や孫の代に問題を残さないためにも早めの手続きをお勧めします。
 また、期限として注意をする必要があるのは、相続放棄または限定承認(相続を知ったときから3ヶ月以内)、準確定申告(相続開始から4ヶ月以内)と相続税の申告と納税(相続開始から10ヶ月以内)です。

 相続する人が決まっているのでしたら、子や孫の代に問題を残さないためにも早めの手続きをお勧めします。

税金イメージ

3.相続登記の手続き方法

 相続登記は、「法務局」に登記申請書と、必要な書類を提出して行います。

(1)申請先の法務局(登記所)を調べる

 法務局は管轄がありまして、世田谷区内の不動産であれば、「東京法務局世田谷出張所」が管轄となるなど、不動産の所在地によって申請先の法務局が変わります。
 法務局のホームページに、管轄を調べるページがありますので、そこで調べましょう。調べる時には、不動産の管轄と商業(会社)の登記の管轄が違う場合がありますので、ご注意下さい。リンクは下記のとおりです。

 【リンク】法務局-管轄のご案内 http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html

(2)登記申請書を作成する

 登記申請書は、法務省のウェブサイトで公開されていますので、これを参考にご自身で作成することもできます。

 単純なケースであればこの公開書式で対応できますが、少し複雑なケースになりますと、専門家に相談が必要なこともあります。
 登記申請を行う際には、作成した登記申請書の他に、添付書類を一緒に提出します。

(3)登記申請書の添付書類を集める

 登記申請書に添付する書類は以下のものです。

(ア)被相続人(なくなられた方)の戸籍謄本等

(a)遺言書がある場合

 遺言書(検認済みの自筆遺言証書、公正証書等)がある場合は、被相続人の死亡の記載のある戸(除)籍謄本のみです。


(b)遺言書がない場合

 亡くなられた方の出生から死亡まで、つながりのわかる戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本が全て必要になります。
 相続人に配偶者や子がおらず、相続人が兄弟姉妹のみの場合は、「被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍謄本」も必要です。他に兄弟がいないかどうかを調べる必要があるためです。

 戸籍謄本の収集については、こちらの戸籍謄本収集の解説ページもご参照ください。

戸籍謄本を集めるのは、他に相続人がいないか(子供などがいないかを確認するため)ですので、実務上は生殖可能な年齢として、概ね15歳ぐらいからの戸籍謄本を集めて提出すればよいとされています。

古い戸籍謄本は、戦災で焼けるなどの理由で失われている場合があります。その場合は、役所から「焼失したことの証明書」などをもらい、他の相続人全員で「他に相続人はいないことの証明書」という書類を作成し、相続人全員で実印押印(印鑑証明書添付)して提出すれば、登記ができます。

明治時代から昭和初期の古い戸籍謄本は、手書きで書かれており、判読が難しい場合があります。書き手の字の癖や文脈などから推察して解読したりしますし、まれに誤記がそのままになっているという場合もあります。どうしてもわからない場合は役所や専門家にご相談ください。

戸籍謄本等には有効期限はありませんが、後述の「相続人の戸籍謄本」は、被相続人死亡後に取得したものである必要があります。被相続人死亡当時に、相続人が相続人であったかどうかを把握するためです。

(イ)被相続人の住民票(又は除住民票)

 登記簿上の被相続人の住所とつながるものが必要です。
 登記簿上の住所が古く、現在の住所と違っており、現在の住民票に登記簿上の住所が載っていない場合は、除住民票を取り寄せたり、戸籍の附票と取り寄せてつながりを証明します。

 住民票は、除かれてから5年で廃棄されてしまうので、古い住所のまま住所変更登記を行っていないと、住民票等でつながりが証明できないことはよくあります。
 そのようなときは、登記簿上の住所についての「不在住証明書」「不在籍証明書」を取り寄せ、権利証があれば権利証を、他に固定資産税の納税通知書等があればそれを法務局に提出して、本人に間違いがないことを証明します。
 不在住証明書は、その住所でその名前の人の住民票はありませんよ、という証明書、不在籍証明書は、その本籍でその名前の人の戸籍はありませんよ、という証明書です。  証明の申請書に登記簿上の被相続人の住所・氏名をそれぞれ書き、役所で証明をしてもらったものを登記所に出します。

(ウ)相続人の戸籍謄本

(a)遺言書がある場合

 遺言書で相続することになった方の現在の戸籍謄本のみです。ただし、相続する人が子や配偶者でない場合は、他に戸籍謄本が必要になる場合があります。


(b)遺言書がない場合

 法定相続人の戸籍謄本を添付します。
 不動産を取得しない法定相続人の戸籍謄本も必要です。
 出生から死亡まで全て必要ではなく、現在のものだけで大丈夫です

(エ)相続人の住民票

 相続人の住所を証明するために添付します。この住民票には、有効期限はありません。

 (除)住民票のほか、戸籍の附票(本籍地の役所で取れる、住所の履歴が記載された証明書です)、印鑑証明書でも代用できます。

(オ)固定資産評価証明書

 登録免許税の計算のために提出します(登記所によっては提出しなくてもよい登記所もあるようです)。東京都なら都税事務所、他の都道府県は県税事務所や市区町村役場などで取得します。
 また、毎年4月1日以降は固定資産評価額の年度が変わりますので、4月1日以降の申請には、その年の4月1日以降に発行された固定資産評価証明書を提出します。
 毎年6月頃に届く「固定資産納税通知書」には固定資産評価額が記載されていますので、その提出でも足りる場合があります。

(カ)遺言書

 遺言書がある場合は、遺言書を添付します。遺言書には遺言者が自ら書いた「自筆遺言書証書」と、公証役場で作成した「公正証書遺言」があります(その他、秘密遺言証書など遺言の方式はいくつかありますが、ほとんどのケースは自筆遺言証書か公正証書遺言のどちらかですので、ここでは説明は割愛します)。


(a)自筆遺言証書の場合

 自筆遺言証書の場合は、家庭裁判所の検認手続が必要となります。
 自筆遺言証書は、封筒に入ったまま家庭裁判所に提出しますので、開封はしないでください(開封すると過料の制裁を受けたり、争いの元になったりします)。
 万が一誰かが開封してしまったとか、封が剥がれている場合でも、そのまま家庭裁判所で検認を受ける必要があります。
 不動産登記の相続登記には、検認済みの自筆遺言証書が必要で、検認を経ていない遺言書では登記申請ができません。


(b)公正証書遺言の場合

 公正証書遺言の場合は、検認手続を行う必要がありません。公正証書を提出します。

(キ)遺産分割協議を行なう場合・・遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書

 複数の相続人のうちのお一人が全部不動産を取得するなど、法定相続と違う割合で相続する場合には、遺産分割協議書を作成します。この遺産分割協議書には、相続人が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。不動産を取得する方は不利益がないので印鑑証明書は添付不要とされています。

(ク)登録免許税

 また、登記の際には登録免許税の納付が必要です。現在は不動産の固定資産評価額の1000分の4です。
申請の際には、登録免許税の同額の収入印紙を買い(銀行等で納付した領収証書でも可です)、登記申請書に収入印紙を貼り付けて提出します。
ほとんどの法務局には、局内に印紙売り場がありますので、そこで購入できます。

4.登記の申請

 添付書類が全て整い、申請書が出来上がれば、登記の申請です。
 登記の申請は管轄の法務局の「不動産権利係」の申請受付窓口に提出します。
 不動産の係には「権利係」と「表示係」がありますが、相続による所有権移転登記は「権利係」に提出します。
 申請の時に、申請書をもう一枚作って提出し、「受領証ください」と係の人に告げれば、受領印を押して申請書を返してくれます。これが申請受付の証明になります。
 なお、登記が終わった後の書類は再度窓口に来て受け取るか、郵送で返却してもらうかを選択できます。郵送で受け取り希望の場合はその旨を申請書に記載し、切ってを貼った返信用封筒(またはレターパック)を提出します。

 また、戸籍謄本や遺産分割協議書は、登記が終わった後に銀行などでも同じ書類を提出して手続きをしたいことがありますが、その場合提出した添付書類は原本還付を受けられます(一部受けられない書類もあります)。原本還付を受けるには、原本還付を受けたい書類のコピーを取り、「原本に相違ありません」と記入して、署名捺印します。枚数が多い場合は、ホチキスで綴じて、全て割印をします。そうすれば登記完了後に原本が返却されます。

 これを忘れてしまうと原本が戻ってこないので注意しましょう。


 申請時には、「登記完了予定日」が受付窓口に掲げられていたり、完了予定日を記載したメモをくれたりします。登記が何時頃終わるかは、法務局の混み具合で多少前後しますが、概ね5営業日くらいの事が多いと思います。

5.法務局の審査

 登記完了予定日まで、法務局で書類の審査を行います。もし申請書に不備があれば、申請書に記載した電話番号に連絡をくれます。場合によっては申請書の訂正や、添付書類の追加を求められますので、法務局の指示に従います。

6.登記完了

 登記の申請書を提出すると、法務局の混み具合にもよりますが、だいたい1週間前後で登記が完了します。
 完了すると、新たな名義人に、「登記識別情報通知書」という書面が交付されますので、法務局窓口で受け取るか、郵送してもらいます。この書類がいわゆる「権利証」と同じ、不動産の権利を証明する書類です。
 大事にとっておきましょう。

 また、このときに「登記事項証明書」を取ってみましょう。まれに漢字が間違って登記されてしまったりすることがありますが、法務局での間違いであれば、法務局で職権更正をしてくれます。そのためにも申請のとおり登記がされているか確認しましょう。

7.Q&A 相続登記 よくあるご質問

 亡くなられた方の権利証(登記済証)は、死亡と同時に使い道がなくなります。相続登記には、権利証を提出する必要がなく、権利者の方が亡くなれば他の登記の申請になれないからです。
ただし、相続登記の際には参考資料としてお持ちいただくとより確実です。というのは、権利証に私道の権利が記載されていて、ご家族の方が把握していないということがたまにあるからです。
 私道(公衆用道路)は固定資産税の課税がされないため、忘れてしまうことがあるようです。
 私道の所有権移転登記を忘れてしますと、後日それが判明したときに一からやり直さなくてはならないことがあり、費用と手間がかかりますので、権利証を確認しておいた方が良いと思います。
 その他、被相続人の登記簿上の住所が古く、住民票など記載の住所がつながらない時に、証拠資料として法務局に提出することもあります。

 遺言書については、ご自宅の遺産の整理をして見つからなければ、貸金庫や親戚など近しい人が預かっていることがあるかも知れません。
公正証書遺言については、平成元年以降に作成された遺言書であれば、全国どこの公証役場でも公正証書遺言の有無が検索できるサービスがありますので、お近くの公証役場にご相談ください。
 【リンク】日本公証人連合会公式HP http://www.koshonin.gr.jp/index2.html

もちろん、ご自身で行うことは可能です。
 登記をご自身で行う場合は、戸籍謄本の収集から全て行う必要がありますが、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍謄本を集めるのに古い戸籍謄本を読み込む必要があったり、手間がかかります。ほとんどの登記所(法務局)には相談窓口があり、そこで相談しながら進めることもできます。
 ただ、登記所は平日昼間しか空いていませんし、ある程度調べ事をしなければなりませんので、単純な相続でなければ時間がある程度必要になります。
 司法書士等の専門家に相談の上進めれば、適切な手続き方法や、ご自身の時間の節約、相続に関する法律知識のアドバイスも受けられますので、メリットは多いと思います。お仕事がおありの方でなかなかお時間の取れない方は、司法書士へのご依頼をお勧めします。
 お時間のある方は、ご自身で手続きを行うのもよいと思います(その場合のご相談のみも、当事務所でお受けしております)。

 相続登記にかかる費用は、「司法書士報酬」「登録免許税」「その他諸実費」です。
 「司法書士報酬」は、登記の複雑さ、相続人の人数、遺産分割協議の有無、物件の数、申請先の法務局の数によって異なります。
 相続登記の手続には、簡単なものから複雑なものがありますので、その費用もまちまちですが、当事務所では基本的に当事務所が行う作業の量により、東京の相続登記のだいたいの相場を勘案しつつ、お話合いで決めております。
 もちろん、事前のお見積りは無料ですので一度ご相談ください。
 「登録免許税」は、国に納める税金で、相続対象の不動産の固定資産評価額のおよそ1000分の4です。
「その他実費」ですが、戸籍謄本等の証明書の取得実費、郵便料、不動産の登記事項証明書など、ご依頼の手続きを進めるにあたって必要となる費用のことです。

相続人のうち、お一人が海外在住の日本人の場合は、日本で印鑑証明書が取得できないと思いますので、領事館で「サイン証明書」と「在留証明書」を取得し、遺産分割協議書にサインして登記所に提出し、手続きすることができます。
 そのようなケースも多数取り扱いがございますのでご相談ください。

 相続人のうち、お一人の行方が分からない場合、まずその方の所在を調査します。基本的には、住民票を追いかけて、手紙や訪問でコンタクトを取ります。
 もし住民票記載の住所に不在で、てがかりもない場合には、家庭裁判所に失踪宣告の申立てや、不在者財産管理人の選任の申立てをします。
 失踪宣告は、7年以上生死不明などの要件がありますが、失効宣告がされれば亡くなられたものと見做されますので、その方を除いて(その方の相続人となる方がいればその方とともに)遺産分割協議を行います。
 不在者財産管理人が選任されれば、その方とともに遺産分割協議を行い、登記を進めます。
 このような場合、手続きの選択などに法的な判断が必要ですので、司法書士等専門家へのご相談をお勧めします。
 当事務所では、失踪宣告申立や不在者財産管理人選任申立のご相談や裁判所に提出する書類の作成なども承っております。

 相続人がいないというケースもよくあります。元々相続人がいない場合は、相続放棄を行った場合です。
 その場合は、家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任の申立てをし、相続財産の管理を行います。
 相続財産管理人は、家庭裁判所で選任され、その後、相続債権者や受遺者に対する請求申出の催告という公告がされます。
その後、相続権主張の催告の公告がされ、それが終わると特別縁故者に対する財産分与の申立て期間が開始します。
 最終的に残余財産があれば、それは国庫に帰属します。


8.さいごに

 以上、相続登記の流れについて記述しました。一般的な比較的単純なケースですと、ご自身で登記を行うこともできます。しかし、相続の登記とひと口に言っても、様々な事例があります。

 ケースによってはどうしても複雑になってしまい、相続に関する法律の知識、登記に関する先例・判例などの知識が必要になってくる場合がありますので、ご自身で手続きをするのが負担である場合は、ぜひ司法書士にご相談ください。

相続の報酬と費用

当事務所では、当事務所の報酬規定に基づき、明確な報酬額を定めております。 ご依頼の際には、費用について詳しくご説明の上、契約書を作成します。 事前にご説明のない費用のご請求はありませんので、安心してご依頼いただくことができます。

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